酸塩基平衡異常へのBoston学派式アプローチとその限界

摘要

慢性腎臓病患者をはじめとして，日常診療の場 で酸塩基平衡異常に遭遇することは多い。その病 態を解明し適切な治療を行うために，酸塩基平衡 異常の解析はきわめて重要である。これまで，CO_2/HCO_3—から考えるいわゆるBoston学派式の アプローチ，base excess (BE)/deficitで考え るコペンハーゲンあるいはオランダ学派式のァプ ローチ，ァニオンギャップ（anion-gap ： AG) からのアプローチ，Stewart法によるアブロー 千，などいくつかの解析方法が提示されてきてい る。通常行われているのは，Boston学派式のァプ ローチである。本稿では，その伝統的なアブロー チ法を概説し，その限界についても考察する。