高齢者大腸癌手術例における術前小野寺式栄養指数の意義

摘要

静脈栄養法や経腸栄養法の発達に伴い，さまざまな病態および栄養状態にある癌患者の術前·術後栄養法が検討されている．術前にしばしばみられる低栄養状態は原疾患の病態悪化にかかわるばかりでなく，治療の妨げとなり，予後の不良因子といわれる．したがって，栄養状態の把握は適切な栄養管理の指標となることに加え，癌患者における予後の予測因子となる．これまで栄養評価と予後判定を兼ね備えた指標としてBuzbyらによる予後栄養指数，小野寺式栄養指数（PNI）が報告されている．前者は遅延型過敏反応が必要など算出が煩雑で緊急手術などの場合に用いにくいが，後者は血清Alb借と末梢血リンパ球数のみで算出する簡便な指数で，消化管切除吻合の可否判断や癌患者の予後に関連すると報告されている．