大腸癌肝転移切除の再開腹術において初回手術時の癒着防止材使用が腹腔内癒着に及ぼす影響に関する検討

摘要

大腸癌術後肝転移に対しては，肝切除術がもつ とも予後改善効果があることが示され，手術手技 や器具の進歩により肝切除例は増加している.ま た近年では，化学療法の進歩により切除可能とな る症例も増加している.原発巣である大腸癌切除 後の異時性肝転移に対する肝切除時において，初回手術の影響による腹腔内癒着は，手術時間の延 長や出血量の増加，術者へのストレスなど，安全 に手術を遂行するうえでの妨げになることは実臨 床現場ではしばしば経験する. 当科では，大腸癌手術後腹腔内癒着予防として，2003年5月以降，癒着防止吸収性バリア（セ ブラフィルム：科研製薬社）を使用している.セ ブラフイルム使用の有無により，肝切除目的の再 手術時に腹腔内癒着による影響がどの程度であるかを，後ろ向きに検討した.