小児期のNASH 勃興しつつある小児生活習慣病

摘要

成人の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH) (以下,本症とよぶ)に相当する病態が小児でも認められる.年齢的には4,5歳から思春期にわたる.小児例ではその成因については多くの症例では肥満が,一部ではインスリン欠乏の関与が知られているが,それ以外の要因についてはかならずしも明らかではない.肥満児では本症の合併の有無を検索すべきである.本症のスクリーニングには血清アラニンアミノトランスフエラーゼ(ALT)活性が有用である.その高値を認めた例では肝の超音波検査を行い,bright liverの所見を認めたら本症の疑いが生じる.一方ALT値正常例でも本症は否定できない.確定には肝生検による組織検査が必要である.治療は肥満のある児では肥満対策が中心となる.ウルソデオキシコール酸プロブコール,ビタミンC,Eなどの薬物療法も試みられている.予後は不明であり,今後の重要な研究課題である.