CABGの新しいス夕ンダード

摘要

多枝障害例に対するCABGにおいて，現在のスタンダードである片側内胸動脈と他のグラフトとの組合せと両側内胸動脈±他のグラフトを使用したCABGの遠隔成績を比較した.1985～1998年のIMAを使用した初回,待機,単独,多枝バイパスした1，131例を片側IMA（688例）と両側IMA（443例）に分類し，早期および遠隔成績を検討した．その結果,入院死亡率はともに0．9％で差はないが，早期G開存率は片側群（94．3％），両側群（97．3％）で有意（p＜0．0001）に両側群が良好．7年再手術回避率は有意（p＝0．026）に両側群が良好.心筋梗塞回避率は両側群のほうがよい傾向（p＝0.06）であった．全死亡or再手術or心筋梗塞回避率の組合せはEF＞0．4(n＝910）に限定すると有意（p＝0．0299）に両側群が良好であった.若くて，DMがない症例に好hで両側IMAを使用する報告は多いが，高齢者やDM例に対しても裸法の両側IMA採取は安全である．EF＞0.4の症例には両側IMAが新しいスタンダードになりうる．