男性更年期と勃起障害

摘要

勃起障害（erectile dysfunction：ED）は男性更年期のもっともはつきりした症状である．疫学的にも年齢とEDは明らかな相関が報告されている．加齢によるEDの器質的な原因は糖尿病など生活習慣病と密接な関連を有し，動脈硬化がもっとも重要な要因として考えられる．一方，EDを主訴とする症例ではテストステロンが低下していることば少なく，あってもわずかな低下か正常下限である.しかし，現時点では正確なbioaveilable testosteroneを測定する方法は難しく,今後のアンドロゲンとEDの生理学的解明が必要である．また，アンドロゲン補充療法も，血中濃度のコントロールが可能な薬物あるいは投与方法の開発が当面の課題になっている．従来のEDは生殖年齢の症例が中心に診療されていた．今後は生活習慣病の増加により男性更年期のED症例は増加すると予想される．近い将来，ED診療は生活習慣病に関連する内科領域に診療が移行する可能性がある．