心身医学からみた男性更年期 とくにうつ病うつ状態との関連から

摘要

男性更年期には男性性機能低下に加えて自律神経失調症状やうつ状態を伴うことが多いため，心身医学的な観点からはとくに"性腺機能とうつ状態 うつ病のかかわり"を理解することがポイントである．これまでの実証的な研究の結果から50歳以降の年代では，生物学的活性をもつくあるいはフリーの）テストステロンとうつ状態との間に明らかな関連が認められ，大うつ病患者においても更年期以降では同様な関連が認められる可能性が高い．すなわち，更年期以降ではアンドロゲン低下とうつ状態やうつ病がたがいを増強しあっている可能性がある.また，アンドロゲン補充療法が，とくにうつ病患者において抗うつ効果を示す可能性が十分にあるため，抗うつ薬との使い分けなども含めて今後臨床的な検討を深めることが男性更年期の治療の進歩にとって重要である．