内皮由来過分極因子

摘要

血管内皮細胞がさまざまな収縮物質，弛緩物質を放出して血管平滑筋運動の調節機構に関与していることは広く知られている．内皮由来過分極因子（endothelium－derived hyperpolarizing factor,EDHF）は，プロス夕サイクリン，一酸化窒素（NO）に続く第3の内皮由来弛緩因子として1988年にその存在が提唱されて以来，その本体に関してさまざまな仮説が提唱されているが，いまだ不明な点も多い．EDHFは血管内皮細胞に与えられた刺激に反応して血管内皮より放出され，それにより平滑筋膜Kチャネルの活性化を引き起こし，血管平滑筋細胞膜を過分極させることによって弛緩をもたらすと考えられている．EDHFは現在主として微小血管の血管弛緩反応，トーヌスの維持に関与しているものと考えられている．また，動物種，血管床，血管径によって異なるEDHFが存在する可能性も示唆されている．