高血圧の治療指針

摘要

高血圧の治療は単に血圧を低下させるだけでなく,動脈硬化の進展阻止と,高血圧が関係する心血管系疾患の発症を防止することである.そのためには,食事療法や運動療法といった生活習慣の修正をしっかりと行うとともに,各患者の病態にもっとも適する降圧薬を投与して,血圧を降圧目標までしっかりと低下させる.現在のところ降圧目標として,若年·中年者では130/85mmHg未満,高齢者は140/90mmHg未満,糖尿病·慢性腎疾患を合併する者では130/80mmHg未満に低下させることが勧められている.降圧薬としてはCa拮抗薬,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,利尿薬,β遮断薬およびα遮断薬の6薬が主要降圧薬とされており,このなかから各患者の病態にもっとも適する薬剤を選択して使用する.効果不十分な場合には第一次薬をあまり大量まで増量せず,相乗効果が期待できる薬剤の併用投与が推奨される.