脳卒中急性期?慢性期の高血圧管理

摘要

高血圧は脳卒中発症の最大の危険因子であり，脳卒中発症時には血圧上昇は予後悪化因子となる.このた め，脳卒中の血圧管理に関してさまざまな臨床研究が行われ，ェビデンスが確立されてきた.急性期脳出血で は血腫の増大などを抑制し，転帰改善のために収縮期血圧の厳密なコントロールが有効であることが示され つつある.一方，急性期脳梗塞では積極的な降圧の有効性は認められていない.しかし過度の血圧上昇は予後を悪化させることから，収縮期血圧>220 mmHg,または拡張期血圧〉120 mmHgのときに緩やかに降圧を行うことが推奨されている.ただし，血栓溶解療法を施行する場合には血圧185/110 mmHg未満とし，アル テプラーゼ(rt-PA)を投与後は180/105 mmHg未満に血圧を保つことが必要である.慢性期では，脳卒中再 発予防目的に140/90 mmHg未満へ血圧を保つことが必要で，さらに個々の病態にあわせて調節する必要がある.