痛みは脳でどのようにして認知されるか-神経イメージング手法による痛覚認知メカニズムの解析

摘要

ヒトでは痛み刺激による上行信号が脳のどの部分に到達し，その情報がどのように伝わるか，という脳内痛覚認知機構の研究は，きわめて重要なテーマであるにもかかわらず，種々の技術的困難のために遅々として進まなかった．ヒトを対象とする場合，非侵襲的検査を用いなければならないことが最大の理由である．しかし，近年の科学技術の急速な進歩により，従来より行われてきた脳波（EEG）に加え，ポジトロン断層撮影（PET），機能的磁気共鳴画像（血圧RI）および脳磁図（MEG）を用いた研究発表が増加してきた．脳磁図は時間分解能が高いため初期反応の時間的情報を得るのに適しており，fMRIは空間分解能が高いため詳細な活動部位の解析に適している．