腎微小循環 Tubuloglomerular feedback機構と腎微小循環研究法

摘要

腎内では細動脈が機能血管として働いており,尿生成をはじめとした腎機能に密接にかかわっている.尿生成の第1段階は糸球体における血液の濾過であるが,糸球体内圧はこの機能調節にもっとも大きな影響を与える要因とされている.糸球体の前後に存在する輸入細動脈および輸出細動脈の2つの抵抗血管の血管反応によって糸球内圧は変化し,糸球体濾過はコントロールされている.それぞれの細動脈は形態的に,また機能的に独立した制御がなされている.さらに糸球体には,尿細管と機能的に関連をもつ腎特有の機構,すなわち"尿細管·糸球体フィードバック(tubuloglomeruiar feedback:TGF)機構"が存在している.このように,糸球体は単に受動的な血液の濾過を行うだけでなく.糸球体自身がその調節を能動的に行うことにより体液コントロールをしていると考えられている.そのため,糸球体微小循環の制御メカニズムを明らかにすることば非常に重要であり,現在各種研究法の開発が進hでいる.