肥満症診断基準

摘要

栄養補給が足り，車社会で運動不足になりがちな現代社会では，肥満は不可避の身体状況である.わが国は 欧米に比べ平均肥満度は高くないが，軽度肥満でも肥満で増悪する健康障害を伴いやすく，これらの頻度が増加し，その対策が重要な医学的課題となっている.そこでわが国ではBMI25以上で，の診断基準にあげられ る11の健康障害を1つ以上有している場合，②これらを伴いやすい内臓脂肪型肥満（内臓脂肪面積が男女と も100 cm2以上に相当するスクリーニング値としてウェス卜周囲長が男性85 cm以上，女性90 cm以上)， を肥満症として医学的に減量すべき疾患単位としている.肥満症にあげられる健康障害には動脈硬化性疾患 そのものや動脈硬化性疾患の危険因子が複数含まれており，動脈硬化性疾患の予防医学の観点からも重要で ある.食事療法や運動療法による減量治療の重要な意義として，肥満症に含まれる複数病態を改善'予防することがあげられる.