セロトニン症候群

摘要

セロトニン(5-hydroxytryptamine : 5-HT)症候群はおもに抗うつ薬の投与中に出現する副作用である.5-HT作動性の抗うつ薬によって脳内の5-HT活性が亢進した結果,発症すると考えられている.その原因となる薬剤は,選択的5-HT再取込み阻害薬(SSRI)やモノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害薬であり,これらの薬剤が広く使用されている欧米で関心が高まっている.わが国では本症候群の報告は多くはないが,最近, SSRIであるfluvoxamineが臨床に登場し,さらにいくつかのSSRIも臨床で使用される予定となっており,今後本症候群の発生頻度が増加するものと考えられる.