kappa受容体作動薬による精神症状

摘要

kappaオピオイド受容体作動薬はと卜において精神症状を誘発し，実験動物では嫌悪効果を誘発することが知られている．本研究では?受容体作動薬による嫌悪効果が精神症状を反映したものかどうかを検討した．kappa受容体作動薬による嫌悪効果は,精神分裂病との関連性が示されているsigma受容体の結抗薬により抑制された．また，嫌悪効果を示すkappa受容体作動薬の感覚効果は，精神症状を誘発するNR1/NR2AおよびNR1/NR2Bサブユニットで構築されたNMDA受容体の非競合的結抗薬（PCPなど）の感覚効果と類似していたが，NR1/NR2Bサブユニットで構築されたNMDA受容体の拮抗薬であるifenprodilとは異なっていた.これらの結果よりkappa受容体作動薬の嫌悪効果は精神症状を反映したものであり，このような感覚効果の発現にはsigma受容体およびNR1/NR2Aサブユニットで構築されたNMDA受容体の関与が示唆された．