beta_3アドレナリン受容体と

摘要

betaァドレナリン受容体(beta-AR)にはbeta_1,beta_2およびbeta_3の3つのサブタイプが知られている.beta_3-ARは発見当初は脂肪組織に発現していたことから，抗肥満·抗糖尿病を適応症に多くの製薬会社が魅力あるタ一ゲッ卜として競いあうことになつた.しかし，beta_3_ARの研究開発には多くの課題のあることが明らかになり，現在まで上市に成功した薬剤は存在しない.一方，膀胱平滑筋にもbeta_3-ARが多く分布しており，蓄尿期における膀胱弛緩に関与するレセプタ一であることが示唆され，著者らも1990年後半より膀胱でのbeta_3-ARの役割に注目し泌尿器領域での開発を検討してきた.beta_3-AR作動薬(beta_3ァゴニス卜）は各種動物の摘出膀胱平滑筋において濃度依存的に弛緩作用を示し，動物モデルの実験では排尿時の膀胱収縮，残尿などに影響を与えることなく膀胱容量を増加させることなど明らかにしてきた.これらの結果から，beta_3-ARに選択的な薬剤の開発は現在臨床で使用されている抗コリン剤の問題を克服できる理想的なOAB治療薬になると期待される.