多臓器不全，肝不全におけるァフェレシス療法-急性肝不全に対するァフェレシス療法の実際

摘要

多臓器障害(multiple organ failure ： MOF)とは，生体への種々の侵襲によつて短時間の間に重要臓器がたがいに関連性をもって機能障害に陥る病態である.一方，肝不全は急激な肝細胞の壊死に伴う，凝固能異常，肝性脳症を特徴とする疾患である.近年，MOF,急性肝不全の多くを占める劇症肝炎は，いずれも高サイト力インによるSIRS (systemic inflammatory response syndrome)であると考えられている.このサイ卜力インなどの病因物質の除去，さらに恒常性維持の目的で持続血液濾過透析(CHDF)を中心としたァフエレシス療法が広く行われている.重篤で死亡率の高い急性肝不全に対し，わが国では血槳交換(plasma exchange ： PE)と同時にCHDFを施行するPE+CHDF療法が広く行われている.これは恒常性の維持とサイ卜力インなどの病因物質除去を目的とし，肝細胞の再生を促す補助療法である.しかし，現在のところその成績には跟界があり，肝移植などの根本的治療を必要とする場合も多い.今後いつそう成績を上げるためには，さらなる工夫と発展が望まれる.