高血圧関連遺伝子のゲノムワイド関連解析-高血圧研究のあらたなアプローチ

摘要

全ゲノムからの探索的アブローチ，ゲノムワイド関連解析（GWAS)が2007年ごろから本格的に開始され た.2009年に.2つのコンソ一シアム（CHARGEとGlobal BPgen)が3?4万人の欧米人を対象としたGWAS メタ分析を実施し，その後2011年に東アジア人のコンソーシアムAGENと，欧米人の拡大コンソーシアム ICBPがGWAS メタ分析を実施した結果.現在までに計40力所の高血圧/血圧関連造伝子座がみつかつてい る.それらは平均して，対立造伝子当り収縮期血圧（SBP)で1mmHg,拡張期血圧（DBP)で0.5 mmHg程度 の変動効果を示すレベルである.関連造伝子を個別にみた場合，診断的意義がいまだ十分とはいえないが， "組合せ"効果を調べた場合，集団内における影響力は無視できない.今後，さらに多くの閔連造伝子の同定 とともに，人種差や遗伝子間相互作用，迠伝-環境相互作用の検討が期待される.