急性白血病に対する造血幹細胞移植の適応一わが国における実際

摘要

急性白血病は，化学療法によって根治可能な例と，同種移植が必要な症例が混在した疾患群である.どのような症例に同種移植を施行すべきか，近年解明が進hできているものの不明な部分も多い.急性骨髄性白血病IAML)に関しては染色体異常と遺伝子異常が再発リスクとして重要である.染色体予後中間群に第一寛解期に移植すべきかどうかは定まっていない.急性前骨髄性白血病(APL)は，分化誘導療法の登場以降，移植の役割は大幅に狭められたが，再発後の第二宽解期には自家移植が，また地固め療法·維持療法中の微小残存病変陽性例には同種移植も考慮される.急性リンノやI生白血病（ALL)においてはフイラデルフィァ染色体(Ph)陽性例は絶封的予後不良とされてきたが，チロシンキナーゼ阻害薬の登場により，その後の移植を含めた成績が向上している.Ph陰性例に対して第一寛解期で同種移植をすべきかどうかは定まっていない.