ケロイドと肥厚性瘢痕

摘要

一般には,毛嚢炎,外傷,手術,熱傷を契機として発生する隆起性皮膚腫瘤をまとめてケロイドと呼hでいるが,形成外科では（ケロイド）と（肥厚性瘢痕）に区別して治療方針を決定する.ケロイドは周囲の正常組織に浸潤しながら増殖するが,肥厚性瘢痕はもともとの傷跡の範囲に留まる.実際に（ケロイド）と診断されるのは比較的まれである.ケロイドと肥厚性瘢痕の代表的治療方法には, ①トラニラスト内服, ②ステロイド含有テープ貼付, ③ステロイド局所注射, ④圧迫療法, ⑤放射線療法, ⑥形成外科的切除および縫合,などがある.とくに,ケロイドは難治性でそれらの併用が必要となる.ケロイドの安易な外科的切除は,再発時に増悪する可能性が高いので注意を要する.