柔道整復術

摘要

柔道整復術は，骨折·脱臼·打撲·捻挫·軟部組織損傷などの外傷に対し，整復·固定·後療法（物理療法·手技療法·運動療法）を，初診から治癒に導くまで，一連の治療を行うわが国の伝統的な民族治療である.この業は柔道整復師が「柔道整復師法」のもと，接骨院などで行う.では，なぜ柔道整復師のもとを患者が訪れるのであろうか？ 「手当て」という言葉のとおり，柔道整復師は治療を行う際には必ず患部に直接触れ，皮膚から手というやンサーを用いて情報を得る.また，柔道整復師は昔から患者とよく話をする.時には家族のように親身になり，コミュニケーションを図っている.これらが患者から信頼を得る要因なのではと考えられる.接骨院を訪れる患者は，痛み·こり感·圧迫感などの症状を訴える場合が多く，医接連携による紹介以外で，自律神経系が関与する不定愁訴を訴える患者の来院は少ない.本稿では，柔道整復術の後療法を用いた不定愁訴への対処，とくに「痛みJ への対処について紹介する.