肝細胞の再生増殖と肝組織構築

摘要

キリシャ神話に登場する，人類に火をもたらしたプロメテウスか受けた刑罰ての「生体内の肝臓は再生する」という一説以来，肝臓の再生現象は人々に力を与え，近年の再生研究を牽引してきた肝疾患の治療も，この再生現象の解明とともに進歩し，目覚ましい発展を成し遂けた近年ては肝臓から細胞成分(肝細胞)を分離·精製して注入移植する肝細胞移植の臨床も開始されており著効例も報告されてきているまた，肝細胞を用いて，機能的肝臓を異所に作製する組襯工学的再生療法も実験動物を用いて積極的に技術開発か行われている本稿ては，肝臓疾患の再生医療の展開において，肝細胞の果たし得る役割を，細胞の再生増殖に着目しつつ概説する