完全腹腔鏡下幽門側胃切除における安全な胃十二指腸吻合

摘要

吻合前に残胃と十二指腸断端が十分オーバーラッブし，緊張なく吻合できることを確認しておく. 後壁吻合の際は十二指腸周囲のスペースを確保し，アンビルはやや背側に向けて十二指腸内に挿入する. 前壁吻合では共通孔の確実な閉鎖を行う.十二指腸断端を同時に切除すると，血行不良部分をなくし端端吻合 様にもできる.Billrothが胃癌患者に胃切除術を行い，胃十二指腸 吻合を成功させたのは1881年である.以来，胃切除 後の最も生理的で簡便な方法として全世界で広く行わ れてきたが，その実際の方法には様々な変遷がある. 日本では100年以上の間，Billrothと同様に手縫いで 吻合が行われてきたが，2000年頃から自動吻合器を 用いた器械吻合が広く行われるようになつてきた.さ らに，腹腔鏡下胃切除術の広がりとともに.上腹部の 小開腹で簡便に行うことができる本法が全盛期を迎え た.しかし，そhな一般的な潮流のなか，ほかの外科 医より圧倒的な技術力をもつ日本の外科医が，完全腹 腔鏡下で行う胃十二指腸吻合，デルタ吻合を開発して いた.