潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘出術および回腸嚢肛門(管)吻合術は,その安全性や術後排便機能の点からも広く受け入れられ,標準術式となっている.しかし,回腸嚢炎などこの手術に特異的な術後合併症が明らかになり,問題となってきている.回腸嚢炎は原因不明の術後合併症であり,その診断基準や治療法も統一されていないのが現状である.術後合併症は短期的にも長期的にも患者のquality of life (QOL)を低下させる可能性があり,潰瘍性大腸炎を扱う外科医は手術の合併症や対策に精通する必要があり,今後,回腸嚢炎などの病態の解明と治療法の開発が望まれる.
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