直腸癌に対するTEM（transanal endoscopic microsurgery）

摘要

経肛門的内視鏡下マイクロサージェリー（以下，TEM）は，直腸病変の外科的一括切除を目的にして行われる管腔臓器内視鏡下手術（endoluminal surgery）である．TEMの出現により内視鏡的粘膜切除（以下，EMR）の限界を超えた病変でも直腸腔内での局所切除による治療が可能となった．本稿ではBuessらにより開発された直腸内通気法を用いたTEM原法を図譜を用いて解説する．TEMの対象となるのは肛門縁から20cmまでの直腸である．主にEMRによる完全切除が困難と判断された直腸の広基性腺腫や粘膜癌が適応となる．具体的には筆者らは腺腫では長径2．5cm以上，粘膜癌では長径1．5cm以上の病変をTEMの適応としている．