肝切除

摘要

大腸直腸癌は全世界で3番目に罹患者数が多い癌種 であり〔国際がh研究機関（lARC), http://www. iarc.fr/]，日本を含むアジア地域では過去数十年間で 2-4倍の罹患率の増加が報告されている大腸癌患 者の約半数は転移をきたすとされており，なかでも肝 臓は最も転移の多い臓器として知られている.大腸癌 と診断された時点で14?25%の症例で同時性肝転移 を認め， 60%の症例で経過中に異時性肝転移を認め ると報告されている.同時性肝転移症例のうち 85%は切除不能であり，したがって，切除の対象と なる症例はわずか15%程度ということになる.しか しながら，切除可能例では非切除例に対してその予後 は有意に良好であり，大腸癌肝転移治療のgold standardが外科的切除であることに異論はないもの と思われる.本稿では，大腸癌肝転移に対する肝切除 の成績，残肝容量不足に対するストラテジー，血管合 併切除，再肝切除の意義などについて解説する.