急性肝不全に対する肝移植術施行のタイミングに難渋した症例

摘要

急性肝不全は予後不良で，肝移植しか救命できない症例が多いが，移植適応や移植のタイミングを決定するのに難渋する症例も少なくない。当科で経験した急性肝不全症例2例(.1例は肝移植施行，1例は保存的に軽快)を提示し，急性肝不全に対する肝移植適応と施行時期について検討する。患者：50歳代，男性。既往歴：約20年前にHBV 陽性を指摘された。現病歴：平成13年血液検査でトランスアミナ一ゼ上昇を指摘されたため，近医で肝庇護剤の投与を受けていた。