メラニン凝集ホルモン（MCH）の肥満における役割

摘要

脳と肥満のメカニズムが分子遺伝学の手法を用いて解明されるようになったのは，ob遺伝子のクローニング以降，ここわずか6年のことである．ob遺伝子の産物であるレプチンが脳視床下部の受容体を介して食欲を調節していることが解明されたことを契機に，肥満と脳の関係が改めて注目されるようになった．脳内でのレプチンシグナルの第2次中枢の1つと考えられるのが視床下部外側野（LHA）であり，LHAで産生される神経分泌物質の1つがメラニン凝集ホルモン（MCH）である．