原発性肺高血圧症の遺伝子異常

摘要

2003年のヴェニスにおける会議で，原発性肺高血圧症は肺動脈性肺高血圧症に分類され，ほかに明らかな原因がないだけでなく，若年者で予後不良という一定の特徴を持つ疾患として，特発性肺動脈性肺高血圧症と命名された．また家族性の肺動脈性肺高血圧症は，遺伝子異常が高率に見いだされるようになったことから特発性肺動脈性肺高血圧症とは独立して分類された．そしてこの遺伝子異常の発見は原発性肺高血圧症の原因研究を大きく前進させ，今後は遺伝子検査および遺伝子治療により早期発見および早期治療が可能となることも夢とは言えなくなった．原発性肺高血圧症の遺伝子異常に関する新しい知見を紹介する．