塩酸バンコマイシン含有リン酸カルシゥム骨ぺ一ス卜で治療したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌手指末節骨骨髄炎の1例

摘要

手指末節骨の化膿性骨髄炎は，病巣搔爬と抗菌薬の全身投与で比較的良好な治療成績が報告されているが，起因菌がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の場合には治療に難渋することがある.今回筆者らは，末節骨に発症したMRSA骨髄炎に対してバンコマイシン(VCM)を含有させたリン酸カルシウム骨ペースト(CPC)を用いて治療した1例を経験したので報告する.症例.15歳，男.主訴：右中指痛.家族歴·既往歴：特記すべきことはない.現病歴：バスケットボールが右中指指尖部にぶっかり受傷した.爪甲基部から出血がみられたが放置し，痛みと滲出液が続くため受傷4日目に近医を受診した.単純X線像で末節骨基部に横骨折がありアルミ副子固定と処置を受けたが，受傷17日目の単純X線像で骨折部の骨溶解像を認めたため当科に紹介となった.