高度不安定型胸腰椎移行部破裂骨折に対する椎体高を整復しない後方単独手術の臨床成績およびその有効性

摘要

これまで胸腰椎移行部破裂骨折に対する治療に関しては，神経学的所見の有無にかかわらず，保存的治療から除圧術，脊柱再建術にいたるまでさまざまな論議がな,されてきたが，いまだにェビデンスの確立された治療法が存在しないのが現状である.これは臨床の場においては，限定された症例数と併せ治療施設，術者の意向が大きく反映することから，治療選択に関するランダム化比較試験（RCT)が困難であることが主因といえよう. われわれは1998年以降，本外傷では術前より受傷後早期に神経学的改善がみられること，脊柱管内骨片も受傷後2-3週からリモデリングにより縮小が開始されること，受傷時の神経学的重症度は受傷衝撃時のエネルギーの大きさにより決定される可能性が高いことを示し，除圧操作の必要性に疑問を投じた.そして椎体後壁高の整復(ligamentotaxis)による間接的除圧を含め，まったく除圧操作を行わずに，局所後弯変形の矯正のみに重点をおいた後方固定術を一貫して単独に施行してきた.