頸部食道癌，喉頭食道全摘例に対する食道·音声再建術の経験 TICシャント法と特製シリコンTチューブによるシャント開存の工夫

摘要

頸部食道癌手術においては発声機能の喪失というQOL上きわめて重要な問題を有する。 教室では輪状咽頭筋切開による高位吻合によりできるだけ喉頭温存を図っているが，気管浸潤などのため喉頭温存不能な症例も多く，音声再建手術への希求は大きい。 今回我々は，有茎回盲部·右半結腸挙上により食道を再建し，気管盲腸瘻形成術（tracheoileocecal shunt；以下，TICシャント法）により発声機能を獲得しえた症例を経験したので，その手術手技を紹介するとともに，術後管理上の工夫につき報告する。