周波数領域拡散および符号多重を用いるOFDM MIMO多重伝送におけるQR分解に基づく演算量削減型MLD法の検討

摘要

本稿では，先に提案した周波数領域拡散と符号多重を適用したOFDMのMIMO多重伝送において周波数領域の受信信号にQR分解に基づく直交化を施してからMアルゴリズムによる演算処理量削減型MLD (Maximum Likelihood Detection)を行う方法について，送信シンボルの信号検出順序制御について検討する．符号多重を適用したOFDMのMIMO多重伝送に特有の課題である同一のフェージング変動を受けた同一送信アンテナからの符号多重された送信シンボル間の生き残りシンボル候補選択の精度を改善するために拡散符号単位順序制御を提案し，受信信号電力を考慮した送信アンテナ単位順序制御よりも優れたパケット誤り率(PER: Packet Error Rate)を実現できることを示す．結果として，16QAMを用いた4×4 MIMO多重において，提案MLD法は拡散率（=符号多重数）が16のときにMアルゴリズムのステージ当たりの生き残りシンボルレプリカ候補数を128とすることにより，平均PERが10{sup}(-2)を満たすのに必要な受信アンテナ当たりの情報1ビット当たりの平均受信信号エネルギー対雑音電力密度比(E{sub}b/N{sub}0)を従来のMMSE (Minimum Mean Squared Error)法に比較して約12dBだけ低減できることを示す．