光空間伝送システムにおける空間並列伝送／強度分布変調方式の符号化に関する検討

摘要

指向直射型光空間伝送システムにおいて伝送速度のさらなる高速化を図る手法として，空間並列伝送／強度分布変調方式が提案されている．この方式では，送信機上に配置された複数の光源(LS: Light Source)のON/OFFで形成される強度分布を用いて情報を伝送し，受信側では複数の光検波器(PD: Photo Detector)で得られる検波器出力分布を基に最尤判定をすることで送信された情報（強度分布）を判定する．しかしながら，従来の方式では，送受信機を小型化するに伴い光源のON/OFFで形成される強度分布形状が似通ってしまうため，十分な伝送特性が得られず，各種ディジタル機器への組み込みに適さない．そこで本稿では，送受信機構成が小型な場合でも良好な伝送特性を確保する方法として，空間並列伝送／強度分布変調方式に符号化を導入する方法を提案し，送受信機の小型化について検討を行う．また，本方式に限らず指向直射型の光空間伝送システムにおいては，送受信機において指向制御を必要とし，送受信機の光軸合わせの際に発生する指向誤差によって通信品質に大きな劣化が生じる．本稿で提案する符号化は小型化を目的としているが，指向誤差が発生して受信電力が低下した状況においても良好な伝送特性を確保するのに有効な手法であると考えられる．そこで，許容誤差の拡大を目的とした符号化導入の有効性についても検討を行う．