Evolved UTRA OFDM無線アクセスにおけるユニキャスト用最適Cyclic Prefix長の検討

摘要

本稿では，Evolved UTRAの下りリンクOFDM無線アクセスを用いたときの，マルチセル環境および孤立セル環境におけるユニキャストチャネルの最適ガード区間長を明らかにする．本評価では，文献[6]に基づいて，遅延スプレッードを計算し，求めた遅延スプレッドからシンボル間干渉(ISI: Inter-Symbol Interference)，キャリア間干渉(ICI: Inter-Carrier Interference)を考慮した受信信号電力対干渉および雑音電力比を計算し，修正シャノンキャパシティにより求めたユーザスループットから，Cyclic Prefix (CP)を用いる最適なガード区間長を明らかにする．シミュレーション結果より，ISI，ICIへの耐性向上と，オーバヘッドの増大による劣化のトレードオフの関係から，他セル干渉の影響が大きいマルチセル環境における最適なCP長は約3μsec程度であり，他セル干渉の影響がない完全な孤立セル環境では最適なCP長は約3-5μsec程度であることを示した．さらに，OFDMシンボルタイミングの検出誤差の影響と，帯域外輔射電力の影響を抑圧する時間ウインドウイングや，同一あるいは複数のセクタから送信された同一の情報データ信号をRF信号で合成するSoft-combining受信を適用した際のマージンを考慮すると，CPに1μsec程度のマージンを設けておくことが望ましく，CP長の最適値はマルチセル環境，孤立セル環境の場合に，それぞれ4μsec，4-6μsec程度となり，最適なCP長は約5μsecであることを示した．