LTE-Advanced上りリンクにおける閉ループ型シングルユーザMIMO伝送のリアルタイムベースバンド信号処理装置を用いた特性評価

摘要

本稿では，試作したLTE-Advancedリアルタイムベースバンド信号処理装置を用い，上りリンクにおける閉ループ型シングルユーザMIMO伝送について，最大2ストリームの2-by-2 MIMO多重，および最大2CC（Component Carrier）のキャリアアグリグーションを適用した場合における，SRS（Sounding Reference Signal）によるMIMOチャネル伝搬路の推定精度の影響を考慮したスループット特性評価を行う．評価結果より，Rank 1の閉ループ型送信ダイバーシチにおいて，SRSを用いたMIMOチャネル伝搬路の推定精度が平均ブロック誤り率特性に与える影響は，2送信アンテナの場合はPV（Precoding Vector）の位相分解能が粗いため，それほど大きくないことを明らかにする．一方，適応変調·チャネル符号化（AMC）を適用した場合のスループット特性でみると，SRSのデータチャネルに対する送信電力比P_(SRS)が-5dBまではスループット特性の劣化はほとhどなく，平均受信SNRが22dBで上りリンクのスループット150Mbpsを実現できるものの，P_(SRS)が-10dBの場合には，P_(SRS)が0dBの場合と比較して20％程度スループット特性が劣化することを示す．これにより，SRSを用いたMIMOチャネル伝搬路の推定精度は，閉ループ型送信ダイバーシチにおけるPV選択精度よりも，AMCにおけるMCS（Modulation and Coding Scheme）選択誤りに大きく影響を与えることを明らかにする．