大気中および塩水中におけるチタン合金の疲労き裂進展挙動に及ぼす板厚の影響

摘要

本研究では，β型Ti-15Mo-5Zr-3Al合金および（α＋β）型Ti-6Al-4V合金を用いて．大気中と3％NaCl水溶液中における疲労き裂進展挙動に及ぼす板厚の影響を調べた．得られた結果は以卜のとおりである．（1）大気中および3％NaCl水溶液中におけるTi-15Mo-5Zr-3Al合金の疲労き裂進展挙厳には，高だ領域で板厚依存性は認められなかったが，低△g領域で板厚の減少に伴ってdα／dNは高速度側に位置した．き裂開閉口を考慮したdα／d間係においても板厚依存性は消失しなかった。 （2）大軍利手おけるTi-6Al-4V合金の疲労き裂進展挙動には板厚依存性は認められなかった．一方，3％NaCl水溶液中においてば、高△首領磯でdα／鮎Ⅴの顕著な加速が認められ,板厚の減少に伴って加速開始点の△gが低下した．さらに低領域でも板厚依存性が認められ，板厚の減少に伴ってdα／dIVは高速度側に位置した．しかし，ニの板厚依存性はき裂開閉口を考慮するとほぼ消失した。 （3）両環境中ならびにいずれの板厚についても，Ti-15Mo-5Zr-3Al合金のda／dN開係は，低領域においてTi－6鳳417合金のそれよりも高速度側に位置した。一方、高領域において両チタン合金の疲労き裂進展挙動は大気中ではほぼ一致したが、3％NaCi水溶液中ではTi-6Al-4V合金にき裂進展の加速が認められた。 （4）（E：縦弾性係数）によって評価された大気中二おけるき裂進展挙動には，両合金間で相通は見られなかった。 　 本研究は，平成8～9年度文部省科学研究費補助金基盤研究（C）（課題番号：08650826）の補助を得て行なわれた．記して謝意を表する．また，実験に協力していただいた大森いづみ君（現日本ガイシ㈱），及部健一君（現豊橋技術科学大学）、粂智和君（現三重大学工学部）および近藤宏君（現三重大学工学部）に感謝する。