任意層数の完全または不完全接合の多層だ円形介在物を有する圧電弾性体のMode III型の応力拡大（特異）係数

摘要

著者らは先に，物性値の異なる多数のだ円形介在物を有する等方性圧電弾性媒体に，無限遠より面外方向に一様な力学的荷重および面内方向に一様な電気的荷重が作用する問題の解析解を導いた．そこでは多層だ円形介在物は同一の共焦点を有し，最も内側の境界は中実圧電弾性体または空孔および剛体介在物とした場合を取り扱った．本論文では上述の成果を拡張し，その共焦点間を結ぶ直線境界がクラックないしは剛体である問題の解析解を導き，拡大（特異）係数などの数値計算を行い，介在物の層厚，物性定数や力学的荷重および電気的荷重等が拡大（特異）係数に及ぼす影響について考察する．なお，この問題はZang ＆ Tongらを含めて幾人かの研究者により圧電弾性体内にクラックがある場合に対し，介在物の存在しない単体とした取り扱いがなされている．