酸性堆積軟岩の風化過程における化学的·生化学的特性

摘要

近年，道路建設や丘陸地の宅地開発など大規模な土地改変が行われ，地表下20～30m以内に存在する潜在的酸性発生土（以下，酸性土と称す）あるいは堆積軟岩が地表に出現している．このような土は，切土地盤の盤膨れや法面の緑化不良などの問題を引き起こしている．著者らは，これまで石川県河北郡津幡地区に産する酸性土に着目し，土の工学的特性に関しての知見を蓄積してきた．また，道路法面の酸性移行過程で地すべり災害が発生したことを報告し，この現象を道路建設によって法面として露出した黄鉄鉱を含む地層の化学的および生化学的風化が原因と推定した．黄鉄鉱を含む堆積泥岩は全国各地の第三紀層に多く見られ，当地付近で酸性土も産出されることから便宜上酸性堆積軟岩と称し，その破砕片は工学的に酸性土と同様に取り扱う．