道路橋鋼製橋脚の耐震信頼性および信頼性設計に関する一考察

摘要

本研究では，阪神·淡路大震災以前の設計規準で設計された鋼製橋脚を対象として，信頼性解析を行った．その結果，昭和39年軋昭和55年版および平成6年版の示書の遠い，橋軸方向か橋軸直角方向のモデルによる違い，橋脚の幾何形状の遣い,橋脚モデルの違い．さらに等断面設計か変断面設計かの違いによって，かなり信頼性が異なることを明らかにした。 そして,その結果をもとに現行あるいはこれまで用いられてきた道路示方書の問題点について詳細な考察を行った。 阪神·淡路大震災において,RCおよび鋼製橋脚が弾性限界を超え塑性崩壊したことを受けて,平成8年12月に道路橋示万書が改訂されたが，その改訂の主要な点は，鋼製橋脚についてもRC橋脚と同様地震時保有水平耐力法並びに動的解析法による安全性照査が義務づけられたことである。著者らのこれまでの研究でも示したが,確かに平成8年版の示万書に従って設計すれば，塑性限界状態に対して橋脚の信頼性は向上はするが．本研究で指摘した問題乱すなわち橋脚構造モデルの違いによる信頼性レベルが異なるという点については,解消されていない。 このような問題点を解消するためには，わが国の設計規準をISO2394に準拠した信頼性理論に基づいたものに改訂する必要がある.本研究は,その第一段階の研究であると位置づけられる．ここで対象とした構造物は，道路橋鋼製橋脚についてであるが，今後は多岐にわたる既設の土木構造物の信頼性レベルを評価しその現状を把握し，これまで用いてきたわが回の設計規準の問題点を明確にすることである。 その他の構造物についても信頼性評価が行われており，現状の把握は進みつつある。 その現状把握のもとに，荷重指針の作成，構造物強度の確率モデルの作成,許容破損確率の規定，信頼性理論に基づく設計フォーマットの提案等の検討を進めていく必要がある．著者らはこれらについても検討を行っており，その成果については機会を改めて発表する予定にしている．