デジタル·オーディオの先駆けとなったPCM録音機の開発物語[I]

摘要

今や，あらゆるオーディオやビデオ装置はデジタル化され，スマートフォンもその例外ではありませh．スマートフォンなどを利用して配信されている音楽の圧縮データ技術もデジタル。オーディオの技術がなければ生まれなかったでしょう．これから述べるPCM録音機の開発は，オーディオのデジタル化の先駆けであったことは，紛れもない事実です．このPCM録音機は，NHK技術研究所が開発されたと言われていますが，最初の試作装置を協力して作り上げたのは沖電気であったことはあまり知られていませh．本稿では，PCM録音機の発案から装置完成までの経緯を当時開発に携わった関係者の話をまとめたものです．デジタル·オーディオ装置を構成するパーツは，半導体の高速化と高集積化により高性能化と小型化が著しく進みましました．とくに，デジタル化された信号を記録するメモリ媒体は時代とともに変わってきましたが，当時のPCM録音機で開発された信号処理の基本的方法は，全く変わっていませh．なお，本稿をまとめるに当たって，元沖電気工業の佐藤憲一氏など，資料提供や当時の開発談話など多大なご協力を頂きました，