(S192)中炭素鋼薄板のTIG 溶接継手中の組織と硬さ分布に及ぼす母材初期組織の影響

摘要

鋼板の高強度化を実現する簡便な方策の一つに、含有炭素の増量がある。しかし、炭素量の増大に伴い炭素当量などで評価される溶接性は低下する。具体的には、溶接金属や熱影響部（HAZ）の劣化が生じる。一方で、溶接金属とは異なりHAZ では溶融·凝固は生じず、固相状態での組織変化に終始する。そのため、同じ組成の鋼であっても、母材組織が異なればHAZの組織や特性が異なるはずである。本研究では、熱処理により母材組織をマルテンサイトやフェライト＋マルテンサイト複合組織等とした中炭素鋼薄板のTIG溶接継手を作成し、HAZ の組織や硬さ分布に及ぼす母材組織の影響を明らかにすることを目的とした。