ステンレス表面におけるAr-N2 混合ガスグロー放電プラズマを用いた窒化反応の解析Analysis of nitrided surface formed on stainless steel by Ar-N2 gas glow discharge plasma

摘要

鉄鋼表面のプラズマ窒化処理は耐食性、材料強度を改質させる極めて有力な手法として多様な用途に用い られている。プラズマ窒化処理は、窒素ラジカルまたはイオンとの表面窒化反応、ついで、高温加熱による窒 素の内部拡散の現象に基づく。従来、窒化膜の評価は、材料特性との相関を議論する観点から、最終的に形 成されるμm オーダーの窒化膜の構造評価を行うことが一般的である。一方、プラズマ窒化の素過程である窒 素ラジカルまたはイオンとの表面窒化反応を詳細に議論した報告は極めて少ない。 本研究ではプラズマによる表面窒化反応を抽出する試みとして、アルゴン－窒素混合ガスを用いたグロー放 電プラズマを利用する。アルゴン－窒素混合ガスを用いることにより、アルゴンガスによるエッチング現象と窒 素ガスによる窒化現象を同時に生じさせ、常に清浄表面での窒化反応を捉えることが期待される。 上記手法により形成された表面窒化層について、オージェ電子分光法（Auger electron spectroscopy: AES）、 および角度分解Ｘ線光電子分光法(Angle resolved X-ray photoelectron spectroscopy: AR-XPS)により評価す る。また、表面窒化時のプラズマ発光特性も評価した。これらの情報にもとづき、プラズマ窒化反応の素過程の 理解を試みた。