タンディッシュ非定常操業時の溶鋼温度予測モデルの開発Development of prediction model of molten steel temperature in tundish under unsteady operation

摘要

鋼の連続鋳造での操業安定や品質向上のためには、鋳型への溶鋼の注入温度を予測して適正範囲に制 御することが重要な課題である。しかし連々1 回目や取鍋交換時の湯面高さが変化する非定常な操業で は（取鍋からの流入流量）≠（鋳型への鋳込み流量）となり、タンディッシュ（TD）内の溶鋼の流れ は複雑に変化して定常時と大きく異なるため溶鋼温度の予測は困難である。そこで非定常操業時のTD 内の溶鋼流動および温度の変化を流動伝熱シミュレーションで明らかにして、溶鋼温度が容易に予測可 能なTD の伝熱計算モデルを開発したので報告する。 ２．非定常操業時の溶鋼温度分布の検討 Fig.1 に空の状態のTD に溶鋼を溜めている過程での 非定常の溶鋼温度のシミュレーション結果を示す。 取鍋からの注入流は、TD 下流では湯面を沿って流れ 底部にはほとんど流れこまない。そのため湯溜初期に流 れ込んだ注入部近傍の溶鋼は周辺の耐火物に選択的に 熱を奪われて、温度降下量が大きくなる。また溶鋼表面 の温度は常に新たな注入流が移流してくるため、TD 平 均よりも高くなる。これらの分布は鋳込みが開始される と徐々に定常時の温度分布へ移行する。