感染症にみられる免疫異常 後天性免役个全症候群(acquired immunodeficiency syndrome: AIDS) AIDS指標疾患その他の疾患 HIV脳症(認知症または亜急性脳炎）

摘要

HIV脳症は，CD4陽性T細胞数200/muL以下での発症が多い，エイズ指標疾患に分類される疾患概念であるが，IVに関する認知機能障害に関して，近年では，さらに包括的な疾患概念であるHIV関連神経認知機能障害(HIV-associ-ated eurocognitive disorder: HAND)が使用されることが一般的となっており，HIV脳症はHANDの分類で最重症のHIV-associated emen-tia(HAD)におおむね相当する.定義上，HIV脳症は臨床症状と頭部画像診断によるもので，HANDは神経心理検査の異常と臨床症状による，という違いがある.歴史的背景としては，HIV脳症は，HIV療法(ART)が確立する以前に，特に使用されることが多かった概念で，HANDはARTが普及してHIV患者の予後が改善し高齢化が進む中で，認知機能障害に焦点があたることで提唱された概念である.本稿では，特にエイズ指標疾患であるHIV脳症(HADに相当）中心に記述する.