炎症性腸疾患の外科治療　最近の進歩

摘要

潰瘍性大腸炎（UC）患者の約30％、Crohn病（CD）患者の約80％が手術を必要とするが，近年における炎症性腸疾患（旧D）に対する内科的治療の進歩は著しい．しかし，UCでは大腸全摘，回腸嚢肛門吻合術（IPAA）が唯一の根治的療法であり，CDでは病変部切除や狭窄形成衛が内科的治療抵抗性病変に対するもっとも効果的な棄解導入療法である．UCではbipolar scissorsや超音波駆動メスといったデバイスの進歩，腹腔鏡を用いたアプローチ，白血球除去療法（LCAP）を用いたあらたな術後管理法，CDでは他の治療を組み合わせた手術タイミングと術式の最適化，術後の寛解維持療法など，手術のみならず周術期管理なども大きな進歩を遂げている．本稿では，旧D外科治療の最近の進歩について述べる.