自動車産業に貢献する非破壊検査技術⑤：振動試験による非破壊検査技術

摘要

振動試験とは環境試験の一種であり、製品が一生のうち被ると予測されるストレスを試験室内で製品に与え、その製品の機能、性能、耐久性、等を確認するために行う試験である。振動試験は、広義では非破壊検査、破壊検査、両方の性格を備え持つ。試験前、試験中、試験後の物理量（加速度、歪、変位、等）を監視し、その特性変化により製品の耐久性を評価する。これは非破壊検査としての一面である。一方、試験終了を待たずに試験品が破損あるいは機能の一部が損なわれてしまうことが起こりうる。こちらの方は結果的に破壊検査という見方ができる。また、耐久性限界を確認するために試験時間を延長し、破損するまで継続する限界試験も一種の破壊検査といえる。ただ振動試験の場合、普段我々が耳にしている“破壊検査”という言葉とは少しニュアンスが異なる。通常、破壊検査は材料強度を調査するために行われることが多い。しかし振動試験では材料そのものを試験対象にすることはほとんどなく、実際の製品を対象にすることが多い。従って、試験者にとっては製品の機械的強度もさることながら、試験終了後に製品機能が損なわれていないか？という点も重要な確認項目となる。ここでは振動試験を利用した検査技術の基本的な考え方を説明する。