共生微生物を活用した屋上緑化システム

摘要

近年，ビルの省エネルギー性の向上やヒートアイランド現象の媛和，CO{sub}2吸収促進の観点から屋上緑化が注目されている．しかし，ビルの荷重制限のため土壌基盤の薄層化が求められ，植栽した植物の板張りが悪くなるという問題がある．しかも屋上環境は，相物に対して乾燥や高温などの厳しいストレスを与えることから，「植栽した植物の定着率の低下」，「メンテナンス頻度の増大」などの課題が残っている．関西電力㈱と大阪ガス㈱は，両社が保有する共生微生物（関西電力：外生菌根菌等，大阪ガス：VA菌根菌）の相乗効果を活用した屋上緑化システムを平成13年度から4カ年計画で開発している.両社で保有する共生微生物は，板張りを向上させ，土壌中の養分や水分の吸収を促進させる効果があり，海外の熱帯林再生事業，砂漠緑化事業などにおいて施工実績がある．屋上緑化にこれらの共生微生物を活用することで幅広い植物種について乾燥や高温などのストレスに対する耐性が高まり，①植物の定着率の向上やメンテナンスの軽減，②屋上緑化に不向きであった植物についてもバラエティーの向上が期待できると考えている.本報告では，共生微生物を利用した屋上緑化適用植物の拡大，及びセダム緑化と比較して草本·木本類によるヒートアイランド緩和効果の評価結果について紹介する．