定常的視覚誘発電位による物体ベースの注意に関する検討

摘要

Eglyら（1994）はターゲット検出課題を通し，その応答時間が注意位置と目標刺激の空間位置のみならず，両者を包含する物体にも依存して変化することを報告した．この事実から，我々は空間に対してだけではなく物体に対しても注意を向けられることが示唆されるが，注意状態の時間変化の特性については未だ明らかにされていない．本研究では定常的視覚誘発電位（SSVEP）を用い，二つの長方形オブジェクト内に配置されたターゲットに対して注意を向けた際の注意の時間変調を調査した．その結果，オブジェクトの存在によりSSVEPが変調されることが分かった．この結果から，物体ベースの注意においては物体内部に注意が優先的に伝搬することが示唆される．