Tightly Coupled Acceleratorを用いた幅優先探索の高速化

摘要

近年、グラフィックプロセッサ（Graphic Processing Unit、以下GPU）の一般目的への利用（General Purpose computation using on GPUs、以下GPGPU）の普及により、ハイパフォーマンスコンピューティングの分野において複数のGPUを利用する方式が一般的になってきた。しかしながら、GPU間同士の通信はそれぞれのホストCPU を介した間接的通信であり、通信遅延が大きい点が問題である。そこで、筑波大学計算科学研究センターは、GPU同士の直接通信を可能とするPEACH2（PCI-Express Adaptive Communication Hub 2）を利用することで複数のGPU を密に接続することができる密結合並列演算加速機構（Tightly Coupled Accelerators，TCA）を提案した。PEACH2 は、PCIeを用いて複数のノードを直接接続し、DMAによる低遅延、高バンド幅のデータ転送が可能なスイッチである。本報告では、このPEACH2を用いたマルチGPUシステムにGraph500の幅優先探索プログラムを実装し、並列実行の予備評価を行った。その結果、2GPUを利用した場合、PEACH2を用いることで2倍に近い性能向上が見積もれることが明らかになった。